お客様宅でLANケーブルの端末処理作業をしていた時の事。
RJ45とケーブルをを8個ほど圧着した所で道具から「メリメリ」と変な音が鳴る様になり、RJ45端子のピンの部分と圧着部の歯が合わなくなって来て「これはおかしい」と感じて道具を点検しました。

LANの端子、RJ45とケーブルを圧着する為の道具。中央下部にある凹型の台座へRJ45端子を差し込んで固定し、中央上部にあるT型の金属でRJ45の8ピン端子を押し下げてケーブルと圧着します。左右のカッターで配線の先を揃えたりケーブル皮膜を剥きます。
この中央下部にある凹型の台座を触ってみた所、、、

中央下部のRJ45端子を差し込んで固定する為の凹型の台座(プラスティック製)が左右とも割れてしまっていました。
このままでは作業を続行する事が出来ないのですが、とは言えまだLANケーブルの端末処理がまだ20個近く残っていたので、凹型の台座を道具下部へ元に戻してから毎回そ〜っと端子を圧着して何とか全てのLANケーブルを作成する事が出来ました。
ただ、道具が割れた後の作業効率は非常に悪く、最終的には割れる前の3倍近くかかったのでは無いかと思います。お客様宅を失礼した後、直ぐにワンランク上の新しい道具を購入したのは言うまでもありません。
現場で作業を行う様になって20年、ドライバー(大小含む)、ニッパー、カッター、スパナ、バイスプライヤー、電動ドライバー、巻尺からスチールワイヤー、脚立まで様々な道具を使うのですが、少々高くても使い易く手に馴染む道具は自然と長持ちして作業効率が高く、結果的に現場が早く美しく納まります。
逆に、間に合わせで購入した安い道具ほど使いにくくて作業効率が低く、身体がその使いにくさを覚えているので次に使う時は手が伸びなかったり直ぐに壊れたりして手元から無くなる事が多いです。
私の仕事用の道具箱には20年間を共に歩んでいる道具も数少ないですが存在し、それらは私にとって非常に手馴染みが良く作業し易く未だに現役なのです。
亡き父がかつて良き薫陶を受けていて、私も小さい頃に「えんとつのおじさん」と呼んでいたアンプ作りの伝説人である伊藤喜多男先生の下記の言葉がようやく腑に落ちる齢になったのかなと、亡き父と伊藤喜多男先生の在りし日の楽しそうな姿に想いを馳せました。
「道具は職人が一番大切にするもの。一流品をこまめに手入れしておけば、それこそ一生もの。使い込むほど手に馴染むという、嬉しい事実がある」