ネットワークオーディオでハイレゾ音源を楽しむのに欠かせないのはハイレゾ音源を保存する為のNAS。しかしNASにはHDDが内蔵されているだけでは無く複雑な機能も有しているので、正しく電源をON/OFFする迄には3〜5分程かかる姿はまるでPCの様。もし停電等でNASの電源が正しい手順を踏まずにOFFしてしまったら最悪の場合はNASのデータが損失する事も考えられます。
そこで、停電時でもNASを保護する為に必要なのが無停電電源装置(UPS)。この機器をNASと接続して設定する事で万が一の停電時でもNASの電源を自動的に正しくOFFしてくれる、まさにハイレゾ音源の保険の様な存在なのです。
まだ弊社のお客様はNASを導入する際に「データが消えたら大変ですから」と説明して出来るだけデータを保護出来る様にセットを組んで、何かあればご連絡を頂いたりこちらから連絡して定期的にメンテナンスが出来るのですが、オーディオNASと銘打って販売しているI社とかB社とか、音が良いと宣伝してるブランドのDとかが発売しているNASに何かトラブルが起こってもユーザー自身が対処するしか無いのは目に見えてます。(お客様相談センターに電話しても繋がりにくい状況が常態化してます)
でもトラブルが起きた時は既にデータを取り出す事が出来なかったり、メーカーに送ってもHDDを丸ごと交換するので当然の事ながらデータは戻って来ません。
I社とかB社とかブランドのDとかのNASのWebページを見ると「ネットワークオーディオの楽しみ方」とか「最高の音を今まで以上に手軽に」とか「はじめてのユーザーにも簡単にすぐつかえる」とか書いてますが、これを鵜呑みにして購入し、バックアップの段取りをせずに(一部の機種はバックアップ用HDDを接続するUSBポートすら無い)リッピングしたCDデータとかハイレゾ音源等をNASにドンドン入れて、3年程した所でNASからカッコンカッコン聞こえてネットワーク上から見えなくなったり、停電した後で再度電源を入れたらウンともスンとも言わなくなったりして泣きを見ない様、ご自身でシステムを構築される場合は上記の点に注意しておけば一先ず安心です。
山口県のF様とはホームオートメーションシステム、AMXの修理をきっかけにお伺いし、その時にF様がご興味を持たれていたハイレゾ音源を聞いてみたいと言う事からLINN KLIMAX DSMをご納品させて頂いたのがご縁の始まりでした。F様にはJAZZやクラシック、ROCK等のハイレゾ音源をお楽しみ頂いているのですが、そのハイレゾ音源データを保存しているNASと、そのNASを停電から保護する為の無停電電源装置(UPS)を納品させて頂いてから4年近く経ちました。
NASに内蔵されているHDDや無停電電源装置(UPS)は約3年を越えれば交換時期を迎えるのが一般的なので、システムメンテナンスを兼ねてF様邸へお伺いしました。
写真中央の黒い機器が無停電電源装置(UPS)。弊社が通常使うモデルよりも少し大きめの容量の物を選んでいます。右側のシルバーの機器はパワーアンプ。オーディオと共にサラウンドもお楽しみ頂いているのです。
無停電電源装置(UPS)の背面。NASやNASのデータバックアップ用HDD、HUBやAMX等の機器コンセントを接続しています。各機器の電源を落としてから全てのコンセントを外して無停電電源装置(UPS)を引っ張り出します。
ラックから取り出した無停電電源装置(UPS)、本機は本体を丸ごと取り替えるのでは無く、内蔵バッテリーだけを交換する事が可能なモデルなので無駄な廃棄物が出ないのは良い所。また、弊社が良く使用しているCyberPower社の無停電電源装置(UPS)はQNAPのNASとUSB接続して設定する事で停電時に連動して自動的にNASをシャットダウンしてくれます。
ちなみにCyberPowerから交換用バッテリーを取り寄せたのですが、中身は中華製のB.B.BATTERY。
無停電電源装置(UPS)の底面を開けるとバッテリーが出て来るので引っ張り出した後、新しいバッテリーと交換。
元々内蔵されていたバッテリーはYUASA。これも勿論中華製ですが、何故かこちらの方が信頼度が高く感じるのは単なる勝手なイメージ??
ハイレゾ音源を保存してるNASの内蔵HDDも交換時期なので、今回の無停電電源装置(UPS)バッテリー交換と合わせて交換。左側が元々使っていたHDDで右側が新しいHDD。このSEAGATE IRONWOLFシリーズはNASに合わせた専用設計。今回はこれを使いました。
HDDを入れ替えた後は設定をし直し、弊社が所有しているNASへ旧いHDDを入れて、新しくHDDを入れ替えたNASへハイレゾ音源データを移設します。
また、写真にはありませんがNASのデータをバックアップする為のUSB型外付HDDも新しい物へと交換して、万が一のデータ損失に備えます。
NASのハイレゾ音源データ移行中に、LINN KLIMAX DSMのファームウェアアップデート作業。
アップデート完了後、以前設定したLINNが特許を取得している、定在波を最適に処理するSpace Optimisationの微調整を行って作業終了。
今回の作業は音質向上に直接の影響がある訳では無いのですが、安心してハイレゾ音源等で音楽をお楽しみ頂く為に必要な内容だと弊社は考えています。HDDやNASはある一定年数を越えると不具合が生じてもおかしく無い性質なので、NASでハイレゾ音源をお楽しみで、まだデータをバックアップされて無いと言う方がいらっしゃいましたらバックアップを強くお勧めします。また、お客様自身でNASの設定画面に入る事が可能であれば、内蔵されているHDDの健康診断を行うツール、S.M.A.R.T.(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)で状態確認をしてHDDの交換時期の目安とされるのも良いでしょう。
上記の様な事をご自分で行うのは不安だと言う方は弊社へご相談下さい。
F様、ありがとうございました。また近々お伺いさせて頂きます。